地下室のニュースタンダード
【 用途/活用例 】
構造的な配慮で無限に広がる
「地下室の用途」
2000年6月の建築基準法改正により、一定の条件(開口率、換気設備、除湿設備、防水対策など)を満たせば、居間や寝室や台所などの居室として、地下室を利用できるようになりました。これは、地下室の用途を狭めてきたこれまでの大きな壁が取り払われたに等しい規制緩和です。
地下室が地中に埋まっているという特性に配慮した、ちょっとした工夫と新しい設備に加えて構造的配慮をしさえすれば、地下室の用途は無限に広がります。あなたの夢を地下室で実現してみませんか?
敷地条件に合った自由な形を実現する「地下室のタイプ」
地下室と敷地地盤との関係、地上階と地階との接合のパターンにより、地下室のタイプを以下のように分類できます。あなたの敷地にはどのタイプが合いそうですか?株式会社地下室なら、敷地条件に合った自由な形を実現できます。
サンクンガーデン(特殊ドライエリア)型
サンクンガーデン型はドライエリアを建物の中央に設けてた形状です。 内部には自然の光と風を取り込みつつ、プライベート空間として利用できますので、接する部屋を開放的に計画することで地下室全体が贅沢な空間となります。 例えば、ドライエリアに面してお風呂を設置すれば、星空を眺めながら湯船に浸かる生活も夢ではありません。 ただし、全体のプラン計画に大きく影響するため、特殊なパターンとなります。
ドライエリア型
地下室に自然の光や外気を取り入れたい場合に、ドライエリアを設けます。地下室を寝室にすれば、朝日で目覚めることも可能です。 一般的には、庭の一部や、ベランダの下方などに設置することが多いですが、ドライエリア上部にグレーチングを取り付けることで、玄関アプローチや駐車スペースなどの下に、ドライエリアを設けることもできます。 サッシやシャッターなども自由設計が可能で、RC用の建具になりますので、高気密・高断熱です。
高床(半地下)型
高床型は地下室の上部を地上に露出させるパターンです。 法的に地下室とするためには、露出する範囲に制限があります。また、建物全体の高さにも影響しますので、注意が必要です。 地下室建築コストを抑えることができ、また、高窓を設置することで、自然の光と外気を取り入れることができます。 狭小地や、接道が狭い立地の場合など、大きい重機が進入できない条件であれば、小型の重機でも建築可能な高床型がおすすめになります。また、地下水位が高い地域にもおすすめです。
全埋め込み型
全埋め込み型は、文字通り地下室全体が地中に埋まっています。ドライエリアが無いので、水害などの心配が少なくなります。 全埋め込み型は、遮音性や、断熱性に優れ、地下室の利点を大きく取り入れた形状と言えます。大きな音で音楽を楽しみたい方や、静かな空間をお求めの方にお勧めです。 温熱環境や、耐震性も優れています。ドライエリアなど開口部を設けなくても、一定条件を整えれば居室とすることが可能です。
片側開放型
傾斜地など、敷地と道路に高低差がある場合は、片側開放型をお勧めします。 傾斜地には擁壁や、車庫が多くみられます。それだけでも大きな工事となりますが、ついでに地下室も造ってしまえば、車庫から直接宅内に入れます。 埋戻し工事や、地盤改良工事も不要になるケースが多くありますので、コスト面でもメリットがあります。 敷地内の高低差や、隣地との高低差などの場合も、計画次第では予想以上の地下室を、コストパフォーマンス良く計画することができます。
地下室の活用例
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音楽スタジオ
楽器の演奏や、録音スタジオなどの、地下室の活用例は多くあります。地下室はコンクリートでできており、周囲は地中の為、遮音性が抜群に高いです。ただし、反響音や吸音の調整が必要になります。
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オフィス・書斎
地下室は静寂に包まれます。また、温熱環境にも優れ、年間通して室温も安定し、テレワークなど集中する作業に最適です。大人数で使用するオフィスなどは、換気計画などに配慮が必要になります。
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寝室・ベッドルーム
寝室の活用例は最も多いです。狭小地や、2世帯住宅など、敷地を最大限に活用できます。また、遮音性や温熱環境も良いため、安眠が約束されます。ドライエリアを設ければ朝日で目覚めることも可能です。
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ホームシアター
誰もが憧れる究極の一室です。映画やスポーツ観戦、またはゲームなど、家族にも遠慮なく好きな時間に楽しむことができます。ホームシアターの専門機器も多種多様あり、専門の施工会社もあります。綿密に打合せを行い、究極の一室を提供します。
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車庫・ガレージ
傾斜地や、敷地が高い場合などの立地条件であれば特に有効な活用例となります。鉄筋コンクリート造のため強固な造りとなり、計画次第では何台でも駐車できます。そのまま玄関に入れるプランがおすすめです。
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ワインセラー
ワインセラーは地下室が最も適切です。温度や湿度を管理しやすいためです。しかし、居室などの生活空間も同時に地下室に計画する場合は、別々に環境を管理する必要があるため、十分な検討が必要です。
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プレイルーム
地下室の活用例は多様です。ゴルフ練習室や、トレーニングルーム、模型展示室やお子さんの多目的室など、もちろんリビングダイニングや、浴室も可能です。パーティールームや麻雀部屋など…。自由に発想してみてください。
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収納スペース
地下収納庫といば、備品したものがカビだらけになってしまうイメージがありませんか?快適な地下室であれば、大切な絵画、着物など、なんでも収納できます。また、火災に強いため特に大切なものは地下収納がお勧めです。
地下室を居室として用いる場合の条件
2000年6月1日施行「改正建築基準法」について
地階を住宅等の居室として用いる場合の条件の要約を解説します。
改正建築基準法には、「住宅等の居室や寝室で地階に設けるものは、壁及び床の防湿の措置その他の事項について衛生上必要な政令で定める技術的基準に適合するものとしなければならない。」とあり、
この『政令で定める技術的基準に適合するもの』とは、以下のように定められています。
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防湿に関して、次のいずれかに該当すること
- 外気に開放され、かつ湿気排出に十分な規定寸法以上のからぼり(ドライエリア:少なくとも巾1m以上かつ深さの4/10以上、長さが2m以上かつ窓の高さ以上)、又は、その他の空き地に面する開口部が設けられていること
- 排気筒等のある換気設備(別途適合すべき基準あり)が設けられていること
- 湿度を調節する設備が設けられていること
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防水に関して、次のいずれかに該当すること
- 地階の構造が、水が浸透しない構造となっていること
- 居室内へ水の浸透を防止するための空隙を設け、そこへ浸透した水を排出する為の設備が設けられていること
- 水の浸透を防止する防水層が設けられていること
地下の水回りはタブーの時代ではない
従来は、地下室に水周りを設置するためには、人が入ってメンテナンスできるように大きな汚水槽(中にポンプが入っていて、一定量の汚水・雑排水が溜まると排出するもの)を、地下室床よりさらに深い位置に設置しなければなりませんでした。
汚水槽は、設置にかなりの費用がかかる上、メンテナンスも労力・費用共に大変でした。おまけに、間違って雨水が入りこんで溢れてしまったり、臭気漏れを起したりと、住居内に設置することをとてもお勧めできるものではありませんでした。
私たちは、早くからその問題解決に取り組み、1998年からフランス製の圧送ポンプ(サニポンプ)を導入することで、地下室に水周りを設け、実績をつみあげてまいりました。
この圧送ポンプは、比較的小さな樹脂製のタンクの中に汚物を砕くファンとそれを瞬時に圧送するポンプが内臓されており、入ってきた汚物を溜める事なく瞬時に外に排出してしまいます。
メンテナンスはタンクごと取り替えるだけで済み(2年間保証付)、地下室内部に容易に設置することができます。住宅を住み替えたりや歴史的建物を再利用したり、リフォームが文化となっているフランスでは、50年以上の実績があります。
これさえあれば、地下室に、トイレはもちろんのこと、風呂、シャワー、キッチン、洗面台、洗濯機も比較的容易に設置できるようになりました。これで地下室のタブーがひとつ無くなり、地下室の用途は更に広がりました。